インフェルノを読んで
ダンブラウンの新作,インフェルノを読んだ。
いつも文庫を買うけど,ダンブラウンの新作なら単行本でも買ってみるか!というこで,Kindleで単行本版を購入。
ちょっとしたあらすじ
病院で目を覚ましたラングドンは,自身の数日間の記憶がなくなっていることに気づく。そして,アメリカにいたはずのラングドンは,なぜかイタリアのフィレンツェにいたのであった。
記憶をなくし混乱している最中,いきなり銃をもった女が病院に現れ,ラングドンを殺そうとしてくる。
しかしなんとか,女医のシエナと命からがら病院を抜け出すことに成功。
いきなり追われる身となったラングドンだが,見たこともないものがジャケットの中に入っているのを発見。
その”見たこともないもの”を,シエナとともに観察してみると,デジタル画像を映しだすものということがわかる。
そこで,その映し出されたものを見てみると,
ダンテの「神曲」をボッテイチェリが描いた「地獄の地図」であった。
しかし,この「地獄の地図」は,オリジナルのものではなく,誰かの手が加えられていた。
自分が追われているのは,この改良版「地獄の地図」が関係すると考えたラングドンは,誰が,どういう意図で,この改良版「地獄の地図」を作ったのかの謎に迫ることを決意する。
以下ネタバレ含む感想です
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・豊富な歴史に関する知識
先のラングドンシリーズと同様,美術作品や歴史的建造物に関する知識がたくさんでてきて,その点は前作品と同様楽しめた。
写真のない,ガイドブックもしくは世界史の資料集といった感じ。
写真がない文,自身でイメージを補わなければいけないが,ちゃんと補えるほどの文章力。これはすごいと思う。原作の方の豊富な知識量はもちろん,訳者の方の訳仕方も上手だと思う。
・いつも美女と一緒ラングドン
本作品でも,いつものごとく,ラングドンは何者かに追われている。そして,いつものごとく,美女と一緒。
しかし,今回はこの美女シエナが一番の黒幕。
ただ,結構序盤から怪しさ満点でしたね,このシエナ。
ハーバード大の教授でもあるラングドンがなぜ,疑うこともなく,シエナを全面的に信じていたのか,謎。まぁね,美女だからね。しょうがない。
・これでいいのか結末
結局,バイオテロ完遂してますよね。
えっ,いいの?!
ゾブリストの主張は,作者の主張だったのではないかと疑ってしまう。
ゾブリストの主張は,
「人口増えすぎ→人口が増えるのにはどめをかけるには,子供が生まれてこなくすればいい→子供を産めない体質の人を増やす」というもの。
でも,「子供が少なくて,お年寄りが多い」いわゆる「逆三角形型」の人口ピラミッド社会って,社会として維持できなくなるんじゃないっけ。少子化がすすんでる,日本を含めた先進国が抱えてる問題だと思うんだけど。「人類の存続」という目標を掲げて,ゾブリストはバイオテロを遂行するけど,完全に逆効果だと思う。
あと,「神のみぞ生を決定すべき」とまでは,キリスト教徒じゃないから
思わないけど,やはり子供を「産めない」体質の人を人為的に作るのは,よくないと思うし,不妊治療をされている方にも失礼だよね。
とにかく,結末が気に入らなかった。
途中の展開は面白かったけどな。